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心葉日誌~変遷~

皆さんこんにちは

株式会社心葉の更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

1|三者三様、でも同じゴールは「安定・安全・おいしさ」

  • キャベツ:大量需要(惣菜・外食・加工)。機械化と産地リレーで周年供給を目指す作物。

  • オクラ:高温期のニッチから多用途野菜へ。規格・鮮度勝負の“スピード流通”。

  • 芋類:主食・惣菜・スナック原料で加工適性×保存性が命。土地適性が明快。


2|戦後〜高度経済成長(1950–70s):増産と標準化のスタート 🚜

  • 政策・市場:都市化と外食の拡大で青果需要が急増。共同選果・共販の仕組みが整備。

  • 技術:開田・圃場整備、化学肥料・農薬の普及、キャベツの結球安定化じゃがいもの疫病対策が実務化。

  • 流通:中央卸売市場が柱に。規格・箱・量目が標準化。
    → ゴールは“量と規格”。「出せるだけ出す」時代。


3|1980–90s:産地リレーと機械化、加工ニーズの台頭 🏭

  • キャベツ

    • 冬は関東・東海の高原、夏は冷涼地…と産地間リレーが確立。

    • 移植機・収穫機・マルチ等で省力化。カットサラダ・惣菜向けの歩留まり重視に。

  • オクラ

    • 露地主体からトンネル・簡易施設へ。スターマーク鮮明・曲がり少ない品種が普及。

    • 朝どれ→当日出荷のスピード勝負が文化に。

  • 芋類(じゃがいも・さつまいも・里芋):

    • 貯蔵・選別の機械化が進展。スナック菓子・外食フライ・焼酎(芋)など加工需要が拡大。
      → 「量×省力×加工適性」がキーワードに。


4|2000s:担い手集約・契約栽培・品質の数値化 📈

  • 組織:法人化・大規模化、作付・収穫の平準化が経営の肝に。

  • 契約:カット工場・外食チェーン・スナックメーカーとの規格固定・納期厳守が一般化。

  • 技術

    • キャベツ:定植密度・育苗技術の高度化、黒腐病などの衛生管理。

    • オクラ:高温期の樹勢維持(かん水・追肥・摘葉)で曲がり率低下。

    • 芋:比重・糖度・デンプン価の計測ルーチン化、低温貯蔵・キュアリング(さつまいも)が標準に。
      → 「規格を“つくる”栽培」へ。


5|2010s:スマート農業と6次化、直販・輸出の芽吹き 📦🌐

  • データ活用:環境制御、土壌診断、収量・等級ダッシュボードで人依存から仕組みへ。

  • 6次化:キャベツコールスロー、オクラ加工、芋のスイーツ・チップスなど、規格外の価値化

  • 直販・輸出:ECや観光地マルシェ、冷凍・冷蔵技術の進歩で販路が多様化。
    → “作って終わり”から“届ける設計”へ。


6|2020s:気候変動・人手不足・サステナブル対応の本格化 🌱

  • 気候:高温・豪雨・干ばつに備え、耐暑・耐病品種、潅水・排水・被覆の再設計。

  • 人手:自動走行・選果機・収穫支援、マニュアル(SOP)と動画教育で誰でも同品質へ。

  • 環境:肥料・資材高の中、有機物循環・被覆資材リサイクル・温室効果ガス削減が選定条件に。

  • エビデンス:異物管理・残留基準・簡易HACCPで**“安心の見える化”**を強化。


7|作物別“進化のツボ”🔍

🥬 キャベツ

  • 産地リレー+波状定植で価格変動を平準化。

  • 外葉管理・窒素分配・収穫適期の数値基準(玉径・比重)で歩留まり最大化。

  • 加工向けは芯長・葉厚・裂球耐性が勝負。

🌿 オクラ

  • 朝どれ→当日出荷の動線設計(収穫→予冷→梱包)。

  • 樹勢維持(摘葉・かん水・追肥)と花の観察で曲がり率を抑制。

  • 施設化で端境期の高単価を狙う。鮮度指標(がく・産毛感)の共有が要。

🥔 芋(じゃがいも/さつまいも/里芋)

  • **品種×用途(フライ/サラダ/焼酎/スイーツ)**を固定し、契約・比重・糖度を並走管理。

  • 貯蔵技術(温湿度・ガス・キュアリング)で年間販売。

  • じゃがいもは疫病・そうか対策の輪作設計、さつまいもは低温障害と芽ズレの管理が肝。


8|現場で効く“共通の実務フォーマット”🗂️

  1. 週報1枚:収量(kg/10a)・規格比率・廃棄率・原単位(燃料/肥料/資材)・クレーム率。

  2. SOP(写真3枚×工程):定植・追肥・病害スカウティング・収穫・選別・梱包。

  3. 出口多層化表:生鮮/加工/直販/業務用の“代替先と連絡先”を平時から確定。

  4. 端境期カレンダー:作期分散・他産地連携・冷蔵/冷凍在庫で“欠品ゼロ”を設計。


9|“やりがい”はこう進化した💪

  • 見える達成感:キャベツの玉が揃う、オクラがピンと立つ、芋の比重が狙い値に――手と数字で実感。

  • 天気と対話する知的おもしろさ:気象×土×品種で最適解を組み立てる技術者の喜び。

  • 食卓と産業をつなぐ誇り:学校給食、惣菜、スナック、外食…暮らしに直結。

  • チームで品質を揃える快感:SOPとデータで誰の畝でも同品質に近づく。

  • 規格外を価値に変える創意:漬物・ピクルス・コールスロー・チップス…廃棄が商品に変わる。


10|“価格競争”を避ける差別化の勘所 🧭

  • 数値+物語:規格・歩留まり・残留基準に“収穫時刻・栽培暦・圃場写真”を添付。

  • 欠品プロトコル:代替サイズ・代替品種・在庫放出条件を事前合意

  • 環境値の開示:施肥窒素原単位・資材回収率・電力原単位の年報で選ばれる。

  • 訪問受け皿:1時間の見学アジェンダ(圃場→選別→貯蔵→品質計測)を常備。


11|100秒ストーリー📘

春の長雨でキャベツの裂球が増え、オクラは曲がり率上昇。
週報を振り返ると、かん水過多+窒素偏りが見えてきた。
定植の波状化を広げ、オクラは摘葉を早め、芋は在庫の出荷配分を変更
端境期、量販の棚は空かず、レビューに「いつも同じ品質で助かる」の一言。

データと段取りで、天気の波を“商売のチャンス”に変えた日。


12|これからの10年:レジリエンス×低環境負荷×関係性販売 🚀

  • レジリエンス:災害・高温・原価高に耐える作期分散・輪作・在庫と契約の設計。

  • 低環境負荷:有機物循環・被覆資材の再資源化・精密施肥でコストとCO₂を同時に下げる。

  • 関係性販売:B2B仕様書+直販ストーリーで**“推し産地”**化。

  • 人材:SOPとデータで未経験でも戦力化、多様な働き方に開いた農業へ。


まとめ ✨

キャベツ・オクラ・芋は、
**「量の時代」→「規格と効率」→「データと多販路」→「気候・人手・環境に強い経営」**へと進化してきました。
今日の一歩は――

  • 週報1枚で数値と写真を共有、

  • 規格外の出口表を整備、

  • 端境期の産地リレー計画を更新。

小さな仕組み化が、**“いつも同じ品質”“選ばれ続ける産地”**をつくります🥬🌿🥔💪